会長挨拶

第75回日本皮膚科学会西部支部学術大会
会長 高橋 健造(琉球大学医学部皮膚科学講座)

いちゃりばちょーでー(行逢りば兄妹)!
美ら島(ちゅらしま)で愉しむ皮膚科学

この度、私ども琉球大学皮膚科が、第75回日本皮膚科学会西部支部学術大会を2023年9月16日~17日の土曜・日曜に、沖縄コンベンションセンターにて開催いたします。なお学会翌日の9月18日月曜は敬老の日の祝日連休であります。
沖縄での開催は第63回西部支部学術大会以来、12年ぶりとなります。今年は9月中旬のまだ夏盛りの沖縄へ皆様をお迎えし、この学術大会を開催できますことを、医局員共々大変光栄に存じます。
コロナ明けの沖縄での学会のサブタイトルは“いちゃりばちょーでー(行逢りば兄妹)! 美ら島(ちゅらしま)で愉しむ皮膚科学”といたしました。一期一会、あるいは、袖振り合うも他生の縁、という意味合いの沖縄言葉と教わりました。
私自身は13年前より沖縄に暮らしますが、北海道で生まれ育ち、大学より関西の京都で暮らし、群馬やバルチモアでの数年もあり、日本列島を北から南へと移住しました。
ここ沖縄では皮膚病の違いを見るとともに、言葉の違い、文化や人々の興味の持ちようの違い等も感じてきました。

そこで、松本修先生、山極壽一先生、近藤滋先生に文化講演や特別講演をお願いしております。
松本修先生は、今は沖縄でも放送される探偵ナイトスクープを企画され、まだ上岡龍太郎さんが初代局長だった頃に、日本アホバカ分布図を作成し、その後、言語学学者としてもご活躍です。日本の言語は、古来、京都を中心とした同心円状に周圏へ広がり各地の方言として残り、例外的に琉球奄美諸島においては、京都からの言葉が那覇の首里を中心にもう一度同心円状に広がると説明されています。アホとバカに込める温かみと突き放した感触が地方により逆転し、北海道、京都、沖縄の3つの言語圏を知る私にはなるほどのお話しです。
山極壽一先生は京都大学前総長でゴリラ霊長類を始めとした人類学者で、現在は総合地球環境学研究所の所長をされておられます。人類学のみならず広く日本の科学施策の問題など、お聞かせして貰います。
大阪大学の近藤滋先生は、エンゼルフィッシュの縞模様が体のサイズが大きくなっても何故維持されるのか、最近では体の形がどのように形成されるのか、数学モデルで説明してくださっています。皮膚科医にとっても、熱帯魚に囲まれた沖縄にとっても、興味深いお話しです。
日本皮膚科学会 西部支部企画研修講習会は、「形成外科のエキスパートに聞く」として、1. 熱傷:松村一教授(東京医科大 形成外科)、2. 褥瘡と難治性皮膚潰瘍:大浦紀彦教授(杏林大学 形成外科)にお願いしています。大浦先生とは西アフリカ(ガーナとコートジボアール)でのブルリ感染症による皮膚潰瘍対策の課題でご一緒いたしました。

専門医資格更新の必須共通講習としては、安全と感染の必須講習会を吉備国際大学教授の高橋淳先生:フェークニュースにダマされない新型コロナの疫学(仮)と、渓仁会病院副理事長の成田吉明前病院長より講演頂きます。
その他の教育講演につきましては、いずれも仮題ですが、「ここまで来た! 実現間近の再生医療」「日本の新薬・ワクチンの承認は遅いのか? 安全なのか?」「腸管免疫、マイクロバイオームと創薬」「とんがったクリニック・ここまでやっている開業医」「現役皮膚科医限定、困った時のウルトラQ:オフラベルで効いちゃった」「これは聞いておきたい、エキスパートに聞く皮膚科の名講演」「美容に関して言いたい!」「爪を診て整える」「主婦(夫)達の集い、一度きりの子育て・子供の教育」、「きさらぎ同窓会:若い研究者達の現在の取り組み今後の展望」「達人に聞く!(膠原病)」などと、沖縄関係では、医局総出の「琉球諸島の皮膚病と南の島での皮膚科診療」「血管肉腫」「獣医さんと診る ヒトと動物と海獣の皮膚病」など、iPS細胞から美ら海水族館の海獣の皮膚病まで、幅広くお届けします。
その他にも、全身性エリテマトーデスやリンパ腫、アトピー性皮膚炎のスポンサードシンポジウムに加え、スポンサードセミナーも例年通り多数準備いたします。
特別講演、一般演題、セミナーともに、ご発表は基本的に全て現地沖縄の会場でお願いしようと思っております。
一般演題では副賞付きの「優秀演題賞」を設定しておりますので、奮って演題登録を御願い致します。

今年は東京での国際研究皮膚科学会やシンガポールでの世界皮膚科会議と、大型の皮膚科学会も続きます。
医学・皮膚科の勉強だけではなく、コロナの3年間も過ぎた沖縄の夏の会ですので、学会中の土日ともオープンエアでの懇親会や後夜祭も準備しております。スーツやネクタイなどは必要なく、アロハやかりゆしウエアなどリラックスした服装で参加ください。当日は、ちょっとしたサプライズの出し物もあるかと思います。コングレスバッグも前回同様に沖縄のデザイナーによる、カラフルで楽しいバッグを作成しています。数に限りがありますので、お早めの到着をお待ちします。
学会期間中は秋の連休でもあり、旅程が決まり次第のホテルやエアーの予約をお勧めいたします。

沖縄で皮膚科学を愉しんでもらおうと、一同、こころよりお待ち申し上げます。